A Commentary Of Planet3rd Tracks by LAVA |
アメリカでのリリースとDJツアーを控え、何かとバタバタしているその2日前に、Planet3rdのスタッフ、そしてそのデザインチームの連中に、既に作り終えていた新曲Planet3rdのナイトヴァージョンを作って欲しいといきなり頼まれた。
何て事を言い出すんだ、この1番忙しい時に!しかしその15秒後に中々面白いアイデアだなと思いNew
Yorkで緊急にそれが出来るセッティングをした。
彼等が営むPlanet3rdは今とても若者に人気のあるカフェレストランである。
僕がよくパーティーをするsecobarも渋谷店のPlanet3rdの横に隣接している。
今回のパイオニアからの人気コンパイルシリーズ"MUSIC for BEAUTIFUL MODERN
LIFE"に僕が新曲と新旧のラテンジャズを織りまぜセレクトするという話をPlanet3rdのスタッフに話したら”自分達をからめてくれ”と真顔で言われた。
そう、彼等はとても積極的なのである。
故に彼等のお店にはいつも気分の良くなるエネルギーが充満していて、そして人気があるのである。
1曲目のいわゆる"Day Version"では元宝塚のLISAにスキャットを録音してもらった。
さて"Night Version"はどこでその違いを出そうか?いつものように眠れない飛行機の中で考えてみた。
<スタッフ達の真顔も浮かんできた>
NYに着いてから”声”でその差を出そうと思い、Pierre Cook<ピアークック>という黒人男性で真のゴスペラーに話をしてみた。
彼は快くOKしてくれた。そこで僕はせっかくNYで録音するのだからと思い、Planet3rdの詩を書いてみた。
それを彼がスキャットした後にリーディングしてもらおうと思ったのだ。それをここに訳して載せておく。
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Planet3rd |
僕はいくつかの希望を持ってワシントンスクエアーの公園にすわっている
目の前には噴水があり、そこには人とハトと犬とハエが群がっている
僕が目を開け、息をして、生きている宿命を感じる時、ここは僕を受け入れてくれる
風が海を渡り、雨がその地の感触を伝え、Planet3rdに夜が訪れる時、僕はまた確実に何処かに行けそうな気がしている
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カフェが悪く言えば氾濫しているこの時代に、僕はそこが気分や味を楽しむだけではなく、そこから発信している音楽や情報で、未来に向けての人間同士の前向きな“コミュニケーションの場”になればと思っている。
音楽やレストランが中心ではない。常に人間が主役なのだ。
僕はその未来への雰囲気作りにこのアルバムと2曲の新曲が役立てばと心から願っている。
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LAVA@NY
7.26.'03
Peace |
001:LAVA feat.LISA / Planet3rd <The Day Version> |
今回のアルバムのために書き下ろした新曲。
カフェでまったりしながら雰囲気を楽しむというよりも、そこにガツガツ歩いて向かい、サンドイッチ食べながらまた次の場所へ進んで行くといったような、どちらかというとマンハッタンの働く女性的な感覚をモチーフに作ってみた。
朝目覚めた時や、どこかに急いで向かう時に役立ちます。
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011:Joshua Edelman / Rrcordando a Castillo |
スペインでのマネージメントをしてくれているIsabel<イザベル>が連れて行ってくれた
マドリッドにあるJazz Clubで僕は始めてJoshua<ヨシュア>に出会った。
ユダヤ系スペイン人の彼は小さなステージでキューバ出身の4人のメンバーを従えて演奏していた。
彼は長い足を広げて座り、バンドのメンバーに丁寧に、そしてその鋭い視線で合図を送りながら、軽快にピアノを弾いていた。
その場に釘付けにされた僕は言うまでもなく感動していた。
演奏を終えた彼を捕まえ"とにかく大好きだ"と興奮してまくしたてている僕に彼はまるで自分の子供を見るような顔つきで"ありがとう"と言い、CDを1枚くれた。
"FUSION DE ALMAS"というタイトルのそのアルバムは彼等がマドリッドにある"CafeCentral"で演奏した時に録音されたもので、彼は"with
Affection&Gratitude<愛情と感謝>"という直筆のサインを添えて僕にくれた。
Isabelの家に帰って早速聞いてみた。
おそらく朝起きて眠るまで<眠りの中ででも>ずっと聞いていた。
素晴らしいのである。止めたくないのだ。永遠に聞いていたいのだ。
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楽曲の〆きり間近になっているこのコンパイルアルバムの担当者に
マドリッドから急いで連絡を取り、1曲追加したいからもうちょっと待ってくれと頼んだ。
その曲が今回日本初公開になるJoshua Edelmanの"Recordando a Castillo"である。
"お城で録音されたもの"といういかにも彼らしいタイトルのこのオリジナル曲は心と体が同時に満たされる最高のLatin
Jazz Groove。
マドリッドからNYに戻る前日、彼がConexiones<彼のバンド>と一緒にまたLiveをやるという情報を聞きつけた僕はまた彼に会いに行った。
そして今回僕がコンパイルするアルバムに是非あなたの作品を入れたいと、そしてあなたの音楽を日本に紹介したいとまたいつもの調子でまくしたてた。
彫刻の様な威厳のある顔つきの彼の表情はまた子供をあやすような優しい顔になり、"本当に嬉しい、どうもありがとう"と言ってくれた。
僕はそのうちJoshuaの傑作アルバム"FUSION DE ALMAS"も日本でリリースさせるつもでいる。
そして彼とConexionesを日本に呼ぶ作戦を考えている。
必ず皆好きになる<というよりも誰よりも僕がまた見たいのである>。
今回アルバム中、この曲が1番自分らしく、自分のやり方で見つけてきたものだ。
作曲家の僕は人よりもDJでもないし、コンパイラーでもない。
ただ独自の方法でまたこんなにも素晴らしい出合いを得られるのなら、この作業もとっても魅力的だなと思えるのである。
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015:LAVA feat.Pierre Cook / Planet3rd <The Night Version> |
とにかく時間のない中、NYで急いで仕上げてきたREMIX。
スキャットで参加してもらったのは東京ドームやハウステンボスでも歌った経験を持つNYの最高のゴスペルシンガーPierrr
Cook<ピアークック>。
彼の声を編集しながらあまりにもその気持ちの良い声に、NYのスタジオで徹夜しながら眠ってしまったことを僕は忘れない。
1曲目が歩くスピードで訪れる1日の "始まり"なら、これは再生を期待しながら眠りにつく"夜"のイメージ。
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