Rhythm&Brazil Commentary Of Tracks by LAVA
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001:Moon Dust feat.Sissy Peoples
この曲はNew
Yorkでレコーディングされました。
実はヨーロッパにしか行ったことのない僕は
アメリカに初めて行ったのです。 ヨーロッパは視覚が先に働きます。 その国の持つ風景や雰囲気は確実に日本と違うからです。
New Yorkに行ってまず初めに反応したのは
視覚ではなく聴覚でした。
ある意味New Yorkは東京とも似たところがあります
<というよりも東京が一方的に真似してる>。 だから目よりも先に耳が感じました。
街に出て始めて聞くような地鳴りの音が聞こえ、
それは車の音でも、靴の音でも、地下鉄の音でもない
New Yorkから発生しているノイズ、
これはエネルギーの音だと感じました。 一応音楽家なのですぐに分かりました。 これは個人が意志を持つ強い音です。
Moon Dustは他全曲が自国を離れ活動している
ヴォーカリストをフューチャリングしているのに対して、 僕が外に出て録音してきたものです。
歌ってもらったゴスペルシンガーの
Sissy Peoplesの強い声を録音してきました。
そのヴォーカルマイクには彼女の声と共にノイズが乗りました。
スタジオにいてそれがよく分かりました。
この街には流行がありません。
個人の信じているものが1番なのです。 だからノイズの乗っているそのTakeを僕はOKにしました。
New Yorkでこの曲を録音することが出来て
僕は本当に嬉しいのです。
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002:Amor Segredo feat.Janice
昨年のbrazilectro Europe Tourで
ドイツのハノーバーで知り合ったジャニスは
お母さんがブラジル人でお父さんがドイツ人。
そして彼女はいくつもの言葉を話せる
頭の良い魅力的な黒人女性です。
いくつかのAudiopharmのCompile Albumに参加していて
その声は以前から聴いたことがあったのですが、
どれもEffectされた実験的なものが多く、
僕はそうではなく、その声をいかした曲を彼女のために作り、
そして出来ればポルトガル語で歌ってほしいという
リクエストを出しました。
聴けば分かりますがただでさえ不思議なサウンドを持つ
ポルトガル語ですがジャニスのはもっと個性的で、
その歌声も僕のイメージ以上に素晴らしかったです。
タイトルは直訳すれば秘密の愛人。
愛人はどこの国でも秘密です。
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003:I Say A Little Prayer feat.Aundrea
もともとはバカラックをボサノバでカバーするという
企画アルバムのために作ったんですが
この名曲はボッサにはならないことが自分の中で判明しました。
で、どうしようかと思ったんですがこれは自己流にやってみたら
ものすごく素晴らしいカバーになるぞという
予感だけで続行してみました。
それと今後の国内DJ-SETを考えた時に、
こういうPeacefullなTrackがあればDJやお客さんも嬉しいかな、
という予測でアレンジしてみました。
ヴォーカルは前作のSwing Me Higherを歌った
アメリカ出身のAundrea Hopkinsに依頼しました。
彼女との歌RECはいつも激しいバトルが展開され、
今回もかなり熱いぶつかり合いが見られましたが、
その中で胸をはって良いと言える
2000年代のレアグルーブが作れたと思っています。
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004:Walk On By feat.Marcellus
実はそのバカラックものは2曲依頼されたので
もう1曲は僕の大好きなWalk On Byを選びました。
ただこれまた出来上がったら
ちっともボッサではありませんでした。それもそのはずで、
もともとこの曲はカバーしてみたかったので
あんまりリクエストは聞く気がなかったのです。
こうやってみたかったのです。
メインのメロディーはホーンセクションでなぞり、
歌詞はアメリカ出身の黒人
ポエトリーリーディングアーティスト<こう言うのかな?>
マーセラスがイメージする言葉と、
もともとある歌詞を合体して読んでもらいました。
こんな風に作ってたらバカラック側から
カバーとして認めません的な話しが来て、
皆で困ってたんですが最終的にはOKになりました。
今後の僕のDJ-SETのオープニングに使おうと思っています。
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005:Vem Para Ficar faet.Wilma&Jeanne
<LAVA-Scat Flow To Germany remix>
Mundo Novoのヨーロッパ盤のためにリミックスした作品。
このTrackは僕を含めて4人のクリエイターが
リミックスしていますが、
どういうわけかJeanneのスキャットのパートを
いじっているものがありません。
だから今回のものはタイトルも含めて
大々的に使ってみました。
そのJeanneは母国のブラジルを離れ
日本でも活動していましたが、
現在はオーストラリアにいるようです。
Wilmaはブラジルのサンパウロ出身で、
もう日本でのキャリアは15年以上になります。
僕の原点は彼女達とのコラボレーションから始まったので
作業中その声を聞いていると、
なつかしく気持ちよく、そしてまた強い気持ちになってきます。
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006:Swing Me Higher feat.Jay
<LAVA-Exceed Ourselves Rhythm&Brazil remix>
先に紹介したAundreaがこの曲を前作で歌っていましたが
実は曲が出来た時点で最初に僕が依頼したのは
フィリピン出身のヴォーカリストJayにでした。
ただし僕も人から紹介されて彼に電話して、
Jayの方もいきなり知らない日本人から
たたみかけられるように依頼されたもんだから、
お互いの意思疎通が完成されぬまま
連絡が途絶えてしまいました。
そこで浮上してきたのがAundreaだったのです。
これはリミックスというよりもセルフカバーに近く、
ヴォーカリストは原点に戻るという複雑な状態にあります。
ただしこの曲のリミックスを望んでいたDJ
達にも満足行く内容になっていると思うし、
僕も出来上がった時にはとても興奮したのを憶えています。
Jayは基本にゴスペルがあるので、
最初歌いだした時にはかなり強気でいってたんですが、
ファルセットを使ってみようという僕のアイデアから
彼はどんどんと変わっていき、
気がついたら6時間くらい歌っていました。
彼も新しい自分に気付いたようで興奮していました。
ディレクションをしていて1番楽しいのは
アーティストの知られざる魅力を発見し、伝え、
本人も知らない間に新しいエネルギーを得ている
その瞬間に出くわす時です。
この曲も原点に戻ったことで新しい力を得た気がします。
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007:Like Running Water faet.MJ Rah-D
冒頭で紹介したRhythm&Brazilのコンセプトを
ラップで表現してもたうために
ニュージャージー出身のラッパーRah-Dに会いに行きました。
彼にTrackを聞いてもらいタイトルは
Running In The Worldでやってみたいと伝えました。
Rah-Dはこんなメロウなトラックにライムを
のせたことがないと言って悩んでいました。
僕はTrackよりもあなたを含めた世界をまたにかけて
活動する連中の気持ちを自分の歴史を含めて
オーバーラップさせてほしいと頼みました。
その上でTrackのことは置いておこうと言いました。
とにかくLyricを書いてほしいとお願いしました。
次の日Rah-Dから電話があり、
タイトルをLike Running Waterに変えたいと言ってきました。
もう僕には完成が見えました。
Trackのことは何にも言ってきませんでした。
Rah-Dとのレコーディングの日、渋滞でスタジオに遅れてしまい、
あわててドアを開けたらLike Running Waterは
ほぼ出来上がっていました。
Rah-Dは自身に満ちあふれた表情でブースに立っていました。
僕のアルバムでは初めて歌詞をのせました。
常に何かを超えようと思う人々への1曲になればと思います。
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008:I Say A Little Prayer feat.Aundrea
<LAVA-Meet At Cafe Central remix>
12inch用にリミックスしたもの。
当初誰かに依頼するはずだったんですが、
皆さん時間がないとのことで僕がやりました。
タイトルになっているのはマドリッドにあるJazz Clubの名前で、
僕がそこに遊びに行った時にドイツから来ていた
Walter Langという素晴らしいジャズピアノストが出演していて、
日本に帰ってから彼からメールをもらったんですが、
そのメールタイトルがカッコよかったので
そのままリミックスタイトルに使わせていただきました。
であるからして内容もJAZZになっています。
ちなみに何度も出てくるバカラックボッサは
これが採用になっています。
これもボッサじゃないんだけどね。
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